緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第3章 欠けた左腕と、蜜の体温
「……シャンクスさん」
そこへ、冷たい水と果実を盆に乗せたが、おずおずと医務室に入ってきた。
「なんだ、。お前まで俺を叱りに来たのか?」
「いえ、そんな……。でも、ホンゴウさんの言う通りです。シャンクスさんに、もしものことがあったら、私……」
潤んだ瞳で見つめられ、シャンクスは言葉に詰まった。
「……わーったよ、わかった。飲まねェよ」
観念したように息を吐き、彼女が差し出したリンゴを不貞腐れたように齧る。
その様子を見て、ベックマンやホンゴウがこっそりと顔を見合わせ、小さく吹き出した。
「お頭も形無しだな。に言われちゃあ、もう手も足も出ねェ」
「うるせェ! ……はぁ。早く治して、浴びるほど飲んでやるからな!」
悔し紛れのシャンクスの叫びが、晴れ渡る空へと響いていった。
「おい、ホンゴウ……本当に一口もダメか? 匂いを嗅ぐだけでも……」
「ダメだと言ったらダメだ。お頭、往生際が悪いぞ」
医務室からホンゴウが去った後、シャンクスは深く溜め息をついてベッドに身を投げ出した。
左肩の傷は順調に塞がりつつある。
だが、自由を愛する男にとって、狭い船室での禁欲生活は拷問に等しかった。
酒が飲めない、暴れられない。
そのストレスは、彼の内側で出口のない熱となって燻っていた。
「シャンクスさん、着替えを持ってきました」
扉を開けて入ってきたのは、看病を日課にしているだった。
彼女は献身的に立ち働き、汚れた包帯を片付けシャンクスの身の回りを整えていく。
そのたびに、彼女の体からふわりとバニラに似た甘い香りが漂い、シャンクスの鼻腔をくすぐった。
「……悪いな、いつも」
「いいえ。私がやりたくてやってることですから」
そう言って微笑む彼女の額には、微かに汗が浮かんでいた。
厨房の手伝いや看病で動き回ったせいだろう。
彼女は「あ、暑い……」と呟き、着ていた薄手の羽織を脱いで椅子に掛けたまま、食堂の手伝いへと戻っていった。