緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第2章 落日の蜜、始まりの鐘
眩しい朝の光が船長室の窓から差し込み、は跳ね起きるように意識を取り戻した。
「……っ、シャンクスさん!」
「落ち着け。あいつなら生きてる」
枕元に座っていたベックマンが、低く静かな声で告げた。
その手には吸い殻の溜まった灰皿があり、一晩中、彼女を見守っていたのだろう。
「傷は深いが、命に別状はねェ。今はもう目が覚めて――」
ベックマンの言葉が終わるより先に、はベッドから飛び出していた。
乱れた髪も、借り物の大きなシャツが肩からずり落ちるのも構わず、裸足のまま廊下を駆ける。
「おい、待て! まだ安静に……」
背後から呼ぶベックマンの声を振り切り、彼女は医務室の扉を勢いよく開け放った。
「シャンクスさん!!」
室内には、ベッドに上半身を起こしたシャンクスと、包帯の巻き具合をチェックしているホンゴウがいた。
シャンクスの左肩は、昨夜よりもさらに厚い包帯で固められ、その先にあるはずの腕は、もうどこにもなかった。
「……なんだ、。元気そうじゃねェか」
シャンクスは昨日の地獄が嘘だったかのように、いつも通り不敵で優しい笑みを浮かべた。
「よかった……生きてる…よかった……っ!!」
はその場に崩れ落ち、シーツに顔を埋めて泣き出した。
失われた腕への罪悪感と、彼が失われなかったことへの安堵が混ざり合い言葉にならない。
「大げさだな。腕の一本くらい、安いもんだって言ったろ?」
「安くないです……! 私のせいで……っ」
「いいや、俺が勝手にやったことだ。お前が気にする必要はねェ」
シャンクスは残された右手で、彼女の頭をそっと撫でた。
そこへ、後を追ってきたベックマンが部屋に入り、シャンクスと静かに視線を交わした。
ベックマンのわずかな首振りに、シャンクスは話してない事を察し、表情を少しだけ真剣なものに変えた。
「。少し、真面目な話をいいか」
「……はい」
顔を上げた彼女の瞼は赤く腫れていた。
シャンクスは彼女を見据え、一文字ずつ噛みしめるように告げた。