緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第10章 花の誘惑
「おやおや、赤髪の船長さんとその嬢ちゃん。昨夜はとんでもねェ大変な目にあったみたいだな」
不意にかけられた労いの言葉に、シャンクスは驚いた顔をして足を止めた。
「あんた、なんでそれを……? 」
「はは、俺はこう見えて昔から鼻が良くてね。その嬢ちゃんから漂う匂いで、大体のことはわかるのさ。あの厄介な魔の植物に目をつけられちまったんだろ?」
「へぇ、大した鼻だな……。驚いたよ」
シャンクスは感心したように目を丸くしつつ、事情を知っている相手なら話が早いとばかりに言葉を続けた。
「まあ、そういうわけだから、さっきあんたの兄弟がやってる病院へ行って、こいつの体液から抗体を作ってもらってるところなんだ。明日には薬ができるらしい」
その言葉を聞いた瞬間、男の目が一瞬だけ怪しく歓喜に揺れた。
(このお嬢ちゃんの体液から抗体を作ってる……? ってことは、あの兄貴のことだ。俺があれだけ羨んでたあの極上の蜜とやらを、治療を言い訳にたっぷりと搾り取ったに違いねェ。俺の分の『土産』もしっかり確保してくれてるはずだ……!)
男は内心で、兄なら俺の欲しいものを確実に用意してくれているに違いないと狂喜した。
しかし、そんな下心をオクビにも出さず、器用にいつもの気さくなマスターの顔を装って二人の様子を観察する。
ーーぐぅぅ……。
その時、静かな通りの間で小さな可愛いお腹の虫の音が響いた。
植物の媚薬に翻弄され、昨夜から今朝にかけて散々激しい大人の運動を繰り返していた二人は、満足にご飯を食べていなかったのだ。
シャンクスの腹からもつられるように軽い音が鳴り、二人は同時に空腹を自覚する。
男はそれを見逃さず、待ってましたとばかりにニヤリと笑った。
「なんだ、お前さんたち腹が減ってんのか。ちょうど俺の店もすぐそこだし、嬢ちゃんの精をつけるためにも何か食ってけよ! 昨日の礼も含めて、美味いもんをたらふく奢ってやるからさ!」
男は、後で兄のところへ行って極上の蜜を受け取る算段を立てながら、まずはこの美味そうな獲物を自分のテリトリーへ引き込もうと、下心を完璧に隠して二人を店へと誘うのだった。