緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第10章 花の誘惑
男の態度に言い知れぬ違和感を覚え、今すぐここで問い詰めたい衝動に駆られる。
だが、ここで自分が暴れて治療が遅れれば、苦しむのはだ。
彼女の身体を救うためには、この医者を信じるしかない。
「……チッ、分かったよ。明日、ちゃんと薬は用意しておけよ」
シャンクスは悔しさをグッと堪え、仕方なく引き下がることにした。
彼は未だに熱っぽく物欲しそうな瞳で自分を見つめてくるを、他の誰の目にも触れさせないようにしっかりとマントで包み抱き上げると、そのまま病院を後にした。
「ふぅ……。ひとまずは薬ができれば安心だが、明日またあの病院に行かなきゃならねェのは癪だな」
病院を出て、まだ顔を赤くしたままのを愛おしそうに抱き抱え、シャンクスはそのまま船へ戻って朝の続きでもしようと考えていた。
あの医者の態度には釈然としないものが残ったが、今は腕の中にいる愛しい恋人の熱を早くどうにかしてやりたい気持ちが勝っている。
街の通りを船着き場へと向かって歩いていると、向こうから見覚えのある男が歩いてくるのが見えた。
昨夜立ち寄った酒場のマスターで、あの医者の弟のだった。
「おう、酒場のマスターじゃねェか。昨日は世話になったな!」
シャンクスはいつも通りの快活な笑みを浮かべて声をかけ、そのまま通り過ぎて船へ向かおうとした。
しかし、すれ違いざま男の足がピタリと止まる。
鼻のいいその男は、シャンクスが大事そうに抱えているの身体から漂う、あの森の巨大な植物が放つ独特な毒の匂い、そしてそれに混ざる濃厚に熟しきった甘い蜜の香りに一瞬で気づいたのだ。
男は一瞬で全てを理解すると、ニヤリと意味深な笑みを浮かべて声をかけた。