緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第2章 落日の蜜、始まりの鐘
「……えっ?」
の視界の中で、ルフィの腕が、ありえない長さまでビヨォォンと伸びた。
「ひ……っ!?」
驚愕で腰を抜かす。
ルフィ自身も「なんだこれぇー!?」と叫び声を上げる。
その混乱の渦中で、シャンクスだけが真っ青な顔をして、カウンターの上の「空になった箱」を指差した。
「ルフィ、お前……! まさか、あの箱の中身を食べたのか!!?」
それが、世界を揺るがす「ゴムゴムの実」の力がルフィに宿った瞬間だった。
「海に嫌われる!? 泳げない海賊なんて聞いたことねェぞ!!」
カナヅチになった事実に絶叫していたルフィだったが、それも数分のこと。
彼は自分の頬をどこまでも引き伸ばしては「すげェ、面白いぞこれ!」と無邪気に笑っていた。
「そうだ、姉ちゃんだってお揃いなんだろ? 同じ『実の仲間』だな!」
屈託のないルフィの笑顔。
だが、はそれに微かな苦笑いを返すことしかできなかった。
ルフィにとってその力は「面白い冒険の翼」かもしれない。
けれど、自分にとっては、かつて地獄を招き、今も肌から男を惑わす香りを放ち続ける「呪縛」なのだ。
それでも、この平和な村なら、その呪縛もいつか消えるのだと信じたかった。
数日後。
「さん、悪いんだけどこれ、村の広場で買ってきてくれる?」
「わかりました!」
マキノに頼まれ、は買い物袋を抱えて酒場を出た。
昼下がりのフーシャ村は静かで平和そのものだったが、買い物帰りの小道に入ったところで、不意に風の向きが変わった。
「……おい、この匂い。覚えがあるぞ」
心臓が、跳ねた。
立ち止まったの目の前に、あの日の山賊たちが数人、酒臭い息を吐きながら立っていた。
「……っ」
は咄嗟に目を伏せ、何事もなかったかのようにすれ違おうとしたが、すれ違いざま、一人の男が彼女の腕を荒々しく掴んだ。
「待てよ。……やっぱりそうだ。あの酒場にいた、上等な女じゃねェか」
「放して……! 私は、急いでいるの……っ」
「いいや、放さねェよ。あの時、ボスも言ってたんだ。あの女、妙にいい香りがしやがるってな……」