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緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】

第2章 落日の蜜、始まりの鐘


フーシャ村の午後は、いつも穏やかな陽だまりの中にあった。
赤髪海賊団が航海から戻るたび、店は祭りのような賑わいを見せる。
潮の香りを纏ったシャンクスたちが店に足を踏み入れると、静かだった酒場は一気に命を吹き込まれた。


「――それでよ、その巨大な海獣がガバッと口を開けた瞬間、ベックが横からズドンだ!」


シャンクスが身振り手振りを交えて語る冒険譚に、一番乗りで食いつくのはいつもルフィだった。


「すっげェー! 俺も早く海に出たいぞ!」


その隣で、もまた目を輝かせて聞き入っていた。
マキノの手伝いをしながら、カウンター越しに届く未知の世界の話。
かつて彼女を絶望の淵に追いやった「海」という場所が、シャンクスの口から語られると、キラキラとした宝石箱のように聞こえるのが不思議だった。

宴が一段落した頃、シャンクスがふと、ジョッキを置いてに向き直った。


「どうだ、。この村にはもう慣れたか? 困ったことはねェか」


彼の瞳には、深い思いやりが宿っていた。


「はい!マキノさんをはじめ、村の皆さんは本当に親切で……。毎日がとても穏やかで、楽しいです。私、ここに来られて本当に良かった」


がそう答えると、シャンクスは少し照れたように鼻の頭をかいた。


「そうか、そいつは良かった。……お前がそう笑ってくれるなら、俺たちもこの村を拠点にした甲斐があったってもんだ」


隣でそのやり取りを見ていたマキノも、包み込むような微笑みを浮かべる。


「ええ、さんが来てくれてから、お店もパッと明るくなったのよ。村の男の子たちも、みんな彼女のファンになっちゃって」

「おいおい、それは聞き捨てならねェな。変な虫がつかねェように、ルフィ、お前がしっかり見張っとけよ」

「おう! 任せとけ! 姉ちゃんは俺の大事な友達だからな!」


ルフィが胸を叩いて豪快に笑う。
シャンクスとマキノは、顔を見合わせて小さく頷き合った。
地獄を見てきたこの美しい踊り子がようやく自分の足で立ち、自分の人生を歩み始めている。
ここなら、彼女の「甘い呪い」さえも、ただの愛らしい個性として受け入れてもらえる。

彼女はもう二度と、誰にも脅かされることなく平和に暮らしていけるはずだ。


誰もがそう信じて疑わなかった。




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