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緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】

第10章 花の誘惑


「今夜は見張りを付けるよう言っておいてやる。お頭、てめェは自分の部屋で大人しく一人で寝な」


「はぁ!? なんでだよベック! だって『ほどほどに』って言ってたろ!? つまり、ちょっとは期待してくれてるってことじゃねェか!」


「お前が『ほどほど』で終わらせた試しが一度でもあるか? ほら、さっさと自分の仕事に戻れ」



しっしっ、と野良犬を追い払うような手つきでベックマンにあしらわれ、シャンクスは「ちぇっ……」と盛大に唇を尖らせた。


(……ベックのやつ、いっつも良いところで邪魔しやがって)


ベックマンの背中の後ろから、おそるおそる自分を見つめてくるの可愛い顔を睨みつけ、シャンクスは不貞腐れた顔をした。



「分かったよ、戻りゃいいんだろ! ……だけどな、次の島に着いたら絶対に逃がさねェからな!」



捨て台詞を落とし船長室の方へ戻っていくシャンクスを、はベックマンの後ろで見送った。


「おい、」


ベックマンは呆れたように笑いながら、自分の背中に隠れている彼女の頭に視線を落とす。


「そんなに呑気に笑ってっと、次の島に着いた途端に『赤髪の狼』に一瞬で骨まで食い尽くされるぞ。……あの手加減を覚えたフリした狼には、くれぐれも気をつけろよ」


そのベックマンなりの忠告と比喩表現に、はいたずらっぽく目を細めて、元気よく返事をした。



「はい! 大丈夫です、気をつけて捕まらないようにします!」


そう言って、満面の笑顔で頷いた彼女は、ちょうど夕食の準備の時間になったのを見計らって、「じゃあ、私、食堂の手伝いに行ってきますね!」とパタパタと小走りで甲板を去っていった。


その後ろ姿を、ベックマンは指に挟んだ煙草の煙を吐き出しながら見送る。


「……はぁ。あいつ、本当に分かってんのかね」



あの男の執着と独占欲は、グランドラインのどんな異常気象よりも予測不能で、一度火がついたら誰にも止められないのだ。



(まぁ、何があっても俺が、あのバカのブレーキ役になってやるしかねェか……)



そう心の中で小さくため息をつきながら、ベックマンは水平線の先、次にログが向かうまだ見ぬ島へと視線を戻すのだった。



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