緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第1章 甘露に溺れる地獄
「俺はシャンクス。この船の船長だ」
赤い髪を掻き上げ、屈託のない笑みを浮かべた男に対し、彼女は震える唇を動かした。
「……です。前は…踊り子を、していました」
その名は一ヶ月間、卑猥な呼び名に塗り潰されていたものだ。
改めて自分の名を名乗った瞬間、の胸に、消えかかっていた自分という存在の破片がわずかに戻るのを感じた。
シャンクスは彼女の怯えを見抜いていた。
男たちがひしめくこの船で、彼女がどれほど心細い思いをしているか。
彼は広い船長室の扉を開け、迷いのない声で言った。
「ここを使え、。俺の部屋だ。鍵をかけて引きこもってても文句は言わねェ。野郎どもには近づかせない。……お前の気が済むまで、自由にしていい」
「……ありがとうございます。お言葉に、甘えさせていただきます」
深々と頭を下げ、はその部屋に身を隠した。
一ヶ月ぶりの、誰にも侵されない夜。
豪華な寝台に横たわりながら、はぼんやりと考えていた。
(船長さんは……夜になったら、戻ってくるのかしら。それとも、別の場所で眠るの?)
かつての屈辱がフラッシュバックし、身体の奥から甘い蜜が滲み出す。
だが、夜が更けても、扉がノックされることはなかった。
足音さえ聞こえてこない。
(私のために、気を遣って……どこか冷たい場所で寝ているのかも。申し訳ないことをしてしまった)
翌朝。
不安と申し訳なさが限界に達したは、意を決して重い扉を開けた。
謝罪し、せめて夜は部屋を譲ろうと伝えるために。
だが、部屋の外へ一歩踏み出した彼女の目に飛び込んできたのは、廊下の床に転がっている男だった。
「……あ、うぅ……頭が割れる……」
シャンクスが、空の酒瓶を抱えたまま、無様に呻いていた。
服は酒臭く、寝癖はひどい。
一晩中、宴で飲み明かしていたのは明白だった。
「……あの、シャンクスさん?」
恐る恐る声をかけると、彼は焦点の合わない目でこちらを見上げ、「あ、おはよ……」と力なく手を挙げた直後、口元を押さえて蹲った。
「シャンクスさん、大丈夫ですか!? 私に部屋を貸したせいで、外でこんなことに……本当にごめんなさい!」
必死に謝るの横を、副船長のベックマンが呆れ顔で通りかかる。