第2章 その御身、夜に化ける
肌を張った玄の指は細く長い。肩から首筋を這い、顎を引かれる。開いた唇を割いて、熱い舌が私のそれに触れた。
絡んで離れて、口内の隅々まで奪い尽くす。玄から甘い香りがする。私の全てを甘く溶かして暴く玄に身を委ねた。
艶めかしく光る糸を引きながら離れた唇の端が僅かに上がり、鋭い犬歯を覗かせる。
「我の妖力を其方の肉叢の中で浄化し、我に戻すのだ。我には其方の清く澄んだ霊力が不可欠……」
「ま、まって……玄の妖力って……私には無理じゃないかな……そんな量、出来ない……」
緩く首を振った玄は私に覆い被さり、襦袢の合わせを開く。
「悪いようにはせん。其方にも悦い思いをさせてやる。
……ようやっと、変化を成せた。梓の全てを愛したい」
変化……そうか。玄は1000年生きたのね。胸の中心に指を這わせ、「悦んでおるな」と笑う。千里眼すらもその手に修めた玄は、上機嫌に肩を震わせた。
「今宵、其方は我に――神だった我に、奥底まで愛される」
「……あっ……玄…待って。お願い……私、こういうこと、知らない……」
突起に掠った指がゆっくりとその周りを撫で始める。何周かすると、揶揄うように落ちていった指が、帯を解いた。