第4章 荒神を鎮めん
鼬の頭に6つの足、そして双尾。雷獣だろう。あの風貌に雷雲を引き連れ、雷を操っている。地を見下ろすと、既に雷が落ち、嵐の中、炎が暴れ狂っていた。
「あの方はやはり、ご聡明だ。荒神の怒りで力が増幅されよる。
……そこの人間、あの方の血が流れているのか。これは愉快ぞ」
"あの方"?今日はよくわからないことばかり……全て済んだら、玄に聞かないと。"くろのみかげ"とはなんなのか。
よく舌の回る雷獣を睨み、破魔矢を放った。私が魔を破り、この町の平穏を掴み取る。力いっぱい射った矢は、身を傾けた雷獣の横を通り抜け、雷雲に穴を空けた。一筋の陽光が地に刺さる。
「主、確と掴まっておれ。我があの首を其方に捧げよう!」
ぎゅっと玄の毛を掴むと、風が物凄い速さで私たちを飛ばす。目の前まで迫った雷獣に玄は、その鋭い爪を振り翳した。爪は雷獣の6つの内の1つの足を切り裂く。
雷獣を通り過ぎ、すぐに踵返す。視界が青白く光り、私が掴んでいる背の両脇から黒い翼が生えた。有翼の獅子……玄は変化したその翼を操り、雷獣へ噛み付き、爪を突き刺す。
「ぐはっ!……ただの妖狐が何故そこまで……空狐や天狐の類か……」
「……玄狐だ。巫女に付き従う――ただの妖狐よ」
脳天から噛み付いた玄は、そのまま雷獣の首を捻じ千切った。四肢は地に落ち、土煙を立たせる。玄は首を咥えたまま翼を羽ばたかせ、旋回しながら地に降り立った。