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小夜の狐神〜天に届くまで〜

第4章 荒神を鎮めん


玄は風に背を押されるまま進んでいく。風に導かれているようだ。

「……風神が呼んでおる」

「風神が?」

どうして風神が私たちを呼ぶのだろうか。その答えは行けばわかると思い、玄の毛を握って前を見た。走っているから、髪は後ろに流れるはずなのに、後ろから吹き荒れる風で前に流れる。

町から外れ、林の中に入っていく。山を駆け上がり、木々を避け、玄はどんどん進んでいった。

岩を飛び越え、開けた場所に着地する。玄の背に乗ったまま前を見た。風が目の前に集まっていくのがわかる。目に見えるはずがない風が、霊力でも妖力でもないものを纏っている。

やがて風は人影を型取り、齢14.5ほどの少年が現れた。藍白の髪、内側は水浅葱色。鮮やかな青色で目を縁取り、その下には風のような湾曲した線の刺青。瞳は群青色を薄くした白群だが、青く光っている。

「玄御影神……」

"くろのみかげ"?今、そう言ったのだろうか。それが何を意味しているのかわからない。

「風神――志那都比古神よ。何故、そう荒ぶっておる」

「違うんだ。……僕じゃない。素盞嗚尊の怒りに誘発され、力を制御出来ない」

志那都比古神は眉を下げ、今にも泣き出してしまいそうな表情をしていた。「助けて……」と呟き、浮かんでいく。空からどこか遠くを見つめていた。
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