第4章 荒神を鎮めん
「あぁ…みんなが……愛すべき我が子たちが……ごめんね……」
風が私たちを包み、志那都比古神の隣へと浮かぶ。彼が見つめていたのは、風が吹き荒れ、嵐が町を飲み込む様だった。
家屋の屋根が飛び、風が何もかもを攫っていく。志那都比古神の顔はとても辛そうだった。玄のように人をこんなにも思う神もいるのか。そう思うと、どうにか出来ないかと思案する。
「玄……」
「わかっておる。
まずはあれをどうにかせねば」
玄は淀んだ空を見上げ、軽く唸る。少しずつ、あの厚い雷雲の上から感じる妖気が強くなっていった。何か……力のある妖なのかもしれない。
「神の怒りに肖り、天色を弄ぶとは……低俗な妖には、はまり役よ」
頭を低くして威嚇する玄が風に押し上げられていく。玄の背で、小さくなっていく志那都比古神を見下ろした。
「このくらいなら出来るよ。あの子たちを助けてくれる?」
「志那都比古神!ありがとう!」
雷雲のすぐ近くまで来ると、雷を操る妖が姿を現した。雷雲がうねり、青白い雷光が蛇のように空を走る。背にある矢に手をかけ、弓を構える。弦に矢を引っ掛け、的を定めた。