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小夜の狐神〜天に届くまで〜

第1章 序章


真っ暗な地下を青白く淡い光が包み込む。
血に染まった母の姿が、はっきりとこの目に映った。私の身体も赤く染まり、悲惨さを際立たせる。母が守ってくれていた私の身体からは、1滴も血が流れていなかった。

光を灯す背後を恐る恐る振り返る。
そこに立っていたのは――大きな黒い狐だった。

「我が主、梓。
この時を持って――我は其方の盾となり、矛となろう。
玄狐・玄だ」

青白い光を纏った黒狐は、その存在が妖だとわかるのに、何故かとても……神秘的だった。こんなにも真っ暗な場所でその漆黒の身体は、確かに存在感を放っている。

「……く、ろのさま…?」

「玄だ」

「くろ……?」

玄は長い鼻を私に近付け、まるで涙を拭うように頬を舐め上げる。固まったままの私を器用に背中に乗せ、地下を出ていく。

ぎゅっと玄にしがみつくと、降り注ぐ矢の雨を潜り抜け、大社の裏の木々の群れへと飛び込んだ。
玄は止まらず走り続ける。ずっと遠くへ私を誘うように__。
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