第10章 本当に欲しかったのは*💙
時計を見ると0:47。
寝るには早い。
『そっか』
あの一言が、ずっと引っかかってる。本当に来ねぇの?あの男と笑って帰ってそのまま寝んの?
俺のこと考えずに?
……無理。
スマホを掴んでメッセージアプリ開く。
さっき『来なくていい』って言ったのは俺だよ?でも、あいつが、がいないと。
『来い』
それだけ。もはや命令じゃん。
本当は“会いたい”って意味。既読ついて数秒。
『今から?』
『うん』
それだけ返して、これ以上は送らないって決めた。来るかどうかは、あいつ次第。
いつもはソファで寝ながら待つのに玄関に立って待ってる。こんなの俺じゃなくない?
インターホンが鳴ってすぐにドアを開ける。
ほら、来るじゃん。ちゃんと俺を選ぶ。
少しだけ拗ねた顔。
「……来なくていいって言ったじゃん」
「気が変わった」
不安だったのバレないようにいつもみたいに答えた。
こんなことしてずるいのはわかってる。
腕を引き寄せ触れた瞬間、少しだけ落ち着く。
「男と何してた」
「ご飯だけだよ」
即答じゃん。んだよ、こんな風になって情けない。
「……そ」
それ以上は聞かない。聞いてしまったら今以上に余裕無くすのわかってるから。
「来なくていいって言ったくせに」
「でも来ただろ」
それが全て。そう思ってた。でももう違うって気づいた。
キスをした。さっきまでの嫉妬も意地も全部混ざって、いつもより深くなる。
「……ずるい」
また言われる。わかってんだよ。
でも離せない。やっと必要だって気づいた。
玄関でそのまま抱きしめる。
「え、ちょ……」
「ごめん。今日は意地張った。お前が他の男といるとか無理」