第10章 本当に欲しかったのは*💙
通知の音で我に帰る。
『そうだよ?笑』
こっちはイラついてんだけど、笑とかつけてくんな。
『なんで?』
打ちかけて止める。
なんで?じゃないよな、俺がなんで?だわ。
既読をつけたけど、なんて返していいかわかんねぇ。何も返せない。今さら“やだ”とか言えないことくらいわかってんの。“帰ってこい”なんてもっと言えないことも。
でも、あいつが他の男の隣で笑ってる顔。それを俺は知らない。
それが、こんなに嫌だってわかってたはずなのに。
あぁ、これが嫉妬ってやつね。やっと気づいたけどもう遅い。
スマホを伏せて深く息を吐く。
好きって言ってくるやつは面倒くせぇって思ってたけど、俺のほうが面倒くせぇ。
『ふーん』
それだけ、わざと冷たくしてやる。
すぐ既読ついたけど返信こない。
いいよ、どうせ俺に文句言う資格ねぇの知ってるから。
付き合ってないし関係に名前もない。
だから俺も好きとは言わない。
『今日は来なくて良いから』
強がって送信した。本当は来てほしい。
でも言わない。言えない。
意地張った。俺、ダサいね。
既読ついて数秒。
『そっか』
それだけ来て胸の奥が苦しくなる。
いつもなら「なんで?」って言うくせに。
今日は追いかけて来ねぇのかよ。