第5章 隠された戸惑い
〜おらふくん目線〜
子どもの頃から、僕はこう言われて育ってきた。
「いい? この世界ではね、心は隠さなくちゃいけないの」
僕はそう言われる度に「なんで?」「どうして?」と聞いたんやけど、親ははっきりとは答えなくて、心を隠す方法を色々教えてくれた。
だから僕は自分の心を隠しながら軍に入隊し、腕を買われて弓兵隊の副隊長補佐にまでなった。
「こちら、00522、指名手配犯を捕らえました」
そうして、僕は今日も、指名手配犯を捕まえていた。
この世界では、強盗や殺人より、指名手配犯を捕らえることが最も重要と言われていた。
(指名手配犯より、盗賊とか捕まえたらいいのに……)
と僕は思っていたけど、同じ軍兵に言ったことはなかった。なぜなら軍兵は私語厳禁だからだ。
(愛が犯罪なんておかしい)
そう思っていたけれど、指名手配犯の多くは「愛」の病気を持った最重要犯罪者で、何よりも優先的に逮捕するのが決まりだった。
(でも、どうしたらいいか分からない……)
そうこうと悩む日々を続けながら、僕は軍兵として次々と色んな人を捕まえ続けた。
「私は子どもを大事にしていただけよ! どうして捕まらなきゃいけないの?!」
そう訴えてくる人もいた。だけど、僕の上司も同僚も全く表情を変えないまま首を傾げて、僕にこう言うんだ。
「連れて行け」
「……分かりました」