第4章 愛の影
そんなある日のことだった。
いつも通り、怪しい方法で儲かっている貴族の家に乗り込み、金銀財宝を盗み出した後のこと。
「おんりー、いいものを見せてやる」
唐突に、盗賊の頭がそんなことを言い出した。
頭が何かの気まぐれで妙なことを始めたのだろう。俺はその程度の考えで黙って頭について行き、残酷な光景を目の当たりにすることとなる。
「どうだ、いい景色だろう?」
「これ、は……?」
思わず言葉が途切れた。盗賊であるからには血なまぐさい現場に来ることは度々あった。
だが、今回はそれだけではないのだ。
そこは、よく見知った、大人も寄りつかないような生臭さが立ち込めるスラム街の一角だった。
それが、今ではどこもかしこも赤のそれに染まり、まだ子どもだろう手足の一部が地面や乱雑な物の上に散らばっていたのだ。
「どっかの馬鹿が俺たちの取り分をここにいるガキ共にやっていたみたいでよ。もう取られることがねーよーに黙らせて置いたのさ」
「これって……」
なんて言ったらいいのか分からなかった。
「ん……? な、おい、おんりー?!」
その後、俺は自分が助けていた子どもたちのいた場所から、逃げるように走り去った。
それが感情だということを知ったのは、ずっとあとになってからだ。
俺はドズぼんと出会うその日まで、義賊まがいなことをして生計を立てた。なぜこうしていたのか、なぜこうしたいと思ったのか、考える余裕もないまま……。