第8章 その後のことは
「それで、君はどうして僕たちを助けたんだい?」
軍から逃れたあとのこと。僕は、予想外の救世主に目を向けた。
その救世主は、あの大柄でしっかりとした装備をした軍をほとんど一人で相手していたと思えないくらい小柄な男性だった。
黄色に見えていたのは彼が腰に巻いているパーカーの色であり、深い緑色の瞳から僕をじっと見据えていた。その目からはなんの感情も浮かばなかった。
「……分かりません」
彼が答えたのはそれだけだった。偽善も、戸惑いもない。ただ、僕の問いかけに正直に答えただけ、といった感じだった。
「ちょっと、それどういうことよ?」
とぼんさんは彼を更に問い詰めたが、僕には薄々気づいたことがあった。ぼんさんは子どもの頃から、自分の中の心を隠すこともせずに自由に生きてきた人だから、僕らのように「愛」のない世界で押し潰されてしまうことに理解が疎かった。
きっと、同じなんだと思った。
僕はぼんさんの肩に手を置いた。ぼんさんはまだ何か言いたかった様子だが次第に黙りこみ、僕はそれを良しと見て一歩前に出た。
「君の名前は?」
僕は彼に優しく問いかけた。
彼は初めて、瞬きをして困惑を顔に浮かべた気がした。
「おんりー、といいます」
それが、僕とおんりーの出会いだった。