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0話:愛が禁じられた世界で[dzl]

第8章 その後のことは



「無駄な抵抗はよせ」
 B軍の隊長と思しき人物がこちらに向かって淡々と言った。僕はその言葉を聞いて悟った。説得は無理そうだ、と。
「僕たちは自分たちのやり方で世界を変える」
 それでも僕がそう言っても、隊長は眉一つ動かさず、こちらの様子を伺っているようだった。恐らく、僕たちが少しでも動けば、後ろの部下が動き出し、影で隠れている弓兵たちが矢を放つことだろう。
「世界を変える必要はない」
 案の定、僕の想定通り、隊長は頑なに冷ややかな言葉を返してきた。僕は拳を握った。僕の後ろにいるおらふくんとMENは迎え撃つ気満々だったが、ぼんさんの顔が引きつっているのが見なくても分かった。ここで戦えるのは、僕と経験のあるおらふくんだけだ。僕はありとあらゆる可能性を一気に頭の中で叩き出し、今出来る最善策を練り出そうとした。
「……行こう!!」
 僕は覚悟を決めて声をあげた。続いておらふくんとMENが応え、遅れてぼんさんも応じた。大丈夫だ。僕たちはここまで来たんだから、きっとなんとかなる、なんて根拠もない自信が自然と湧いていた僕の目の前に、思わぬ助っ人が現れたのは、予想外だったけど。
 まずは隊長の掛け声で飛んできた一矢が跳ね返された。それから襲ってくる複数の軍人が突然目の前で倒れ、僕たちが驚いている隙に、バラバラと音を立てて武器が一斉に落ちた。
「誰……すか?」
 MENは訳が分からないといった様子で僕の方を見てきたが、僕も訳が分からなかった。今日はきおきおさんたちがいないはずだし、他に助けてくれる人なんて……と思っていると、戦場が一区切りついてようやく、僕たちの視界にもその黄色い人物がよく見えた。
「……大丈夫ですか」
 今でも、おんりーとの初めての出会いははっきりと覚えている。
 無表情の中から発せられた無抑揚な問いかけ。それは、あまり自分の中の「愛」を自覚出来ていない他の人と変わらないようにも見えた。
 ただ、僕たちを助けてくれたという違いを除けば。
「こっちから逃げられそうだ!」
 ぼんさんのよく通る声が聞こえた。思わぬ登場人物のおかげで、軍の動きに乱れが生まれて隙が出来たのだ。
「みんな、こっちに!」
 僕は全員に呼びかけて軍の手からなんとか逃げ切った。死に物狂いで走ったから、ぼんさんが座り込んじゃってしばらく動けなかったのも、今ではいい思い出だ。
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