第9章 彼らの闘いは続く
〜時は戻って〜
「おーい、ドズさん、そろそろサーカスの時間……って何見てるのよ?」
サーカス小屋の控え室。MENが拘って作ったこの小屋は、すっかりプロ並みのサーカステントとなっていた。プロ並みのサーカステントなんて、本の中でしか見たことないけどね(笑)
少なくとも、あの時みたいに壁という名の布が破れることはない。
「今行く……ってぼんさん、近いですよ」
僕が顔を上げると、そこにはサングラスを掛けたぼんさんの顔があった。ぼんさんは僕の手元にある日記を覗き込んでいた。
「何? 日記書いてたの、ドズさんが?」
とぼんさんが心底驚いたような顔で言うから、それって失礼じゃないですか、なんて冗談混じりで言葉を返して笑い合う。僕、思うんだ。こういう時間って、大切だと思う。
「時間なんですよね? 行きますよ、ぼんさん」
「みんなアナタを待ってたのよ?」
「ハハハッ、そうでしたね」
そんな会話をしながら僕は控え室を後にする。
「日記なんかあったら軍に没収されそうだけど、よく残ってたね」
「こっそり書いていたんです。いつか僕に何かあった時のために、残して置こうと思って」
「やめてよ、そんなこと言うの」
「ハハ、もしもですよ、もしも」僕たちはサーカス小屋の舞台袖まで辿り着いた。「でももう、この世界を縛る軍隊も法律もないですから、そんな心配はしなくて大丈夫ですね」
それを最後に、僕は日記を書くのをやめた。
おしまい