第6章 自由な匠
聞き慣れない言葉の連続で首を傾げるばかりだったが、それはそれで面白そうだと俺は思ったのだ。
そうして早速出発の準備を、と建築作業の片付けもそこそこに荷物を漁っていると、何か柔らかいものに手がぶつかった。
「ん……?」
視線を下に向けると、俺の工具箱には相応しくない程灰色のモフモフがいた。
「ミー」
ソイツは俺に気づいたのかどうなのか、そう鳴いて開きっぱなしの工具箱の中で鳴いた。
「なんでこんなところに……」と思いながらも俺は灰色の猫を抱え上げた。「お前もサーカス団来るか?」
「ミャ……?」
子猫は俺を不思議そうな顔で見つめた。灰色と黒のシマシマ子猫のようだが、それがどこかおっさんのような雰囲気を感じた。
「今日からお前はネコおじだ! 分かったか?」
我ながら俺のこのネーミングセンスは残念だったかもしれないが、のちにこの猫は俺たちにとってかけがえのない大切な仲間となるのは、いうまでもないだろう。