第6章 自由な匠
〜おおはらMEN目線〜
「うーん、なーんかシルエットが微妙だな」
ドズぼんたちと出会う前の話。俺は出会う前も出会った後も、変わらず建築をしていた。
「気休め程度にここに装飾を付け足すか。こうしたら……よし、少しはマトモに見えるだろ」
ガハハと笑う俺の背後では、大工仲間が忙しなく建築作業をしている。背中から、アイツまた独り言を呟きながら建築してるよと言いたそうな視線はあるかもしれないが、そんなものを気にしていたら俺は好きなものを作れない。ということで、俺は一人で建築をしている。
俺は建築に興味があるだけで、この世界のことなんてどうでもよかった。
そんなある日、妙に派手なデザインの張り紙を見かけた。今思えばそんなに優れたデザインでもなかったのに、他の張り紙といえば事務的な文章のものとか、指名手配犯の顔があるくらいだったし。
言い方を変えると、鮮やかな色を使っているそれに、目を引いたって感じだろう。
そして張り紙には、こう書かれていた。
『あなたの心、取り戻しませんか?』
今まで気にもしたことなかった「心」というワードに、俺はますます気になった。俺は昔から人より好奇心が旺盛だったし、だから幼なじみとストリートパフォーマンスの手助けなんかもしている。そのおかげで面倒なことも多かったが、きおきおの手伝いも別に嫌いではない。
その張り紙を読んだところ、どうやら近くで「サーカス」というものをするらしい。俺は一言、サーカスが行われる日に休みを取ると上司に伝え、行ってみることにした。特に嫌な顔もされなかったが……そもそも俺の周りは顔に感情を出す奴らが少なかったし……俺はすんなりと休みが取れた。もしかしたら、一人でぶつぶつ言いながら建築する俺を煙たがっていたかもしれねーがな。
「えっと、名前は……ドズぼんのサーカス団?」