第4章 アフレッタンドに駆り立てられる【もう一度〜死滅回游について】
『かつて加茂 憲倫、今は夏油 傑の肉体に宿っている術師だ』
「不空羂索觀音(ふくうけんじゃくかんのん)と同名、ですか……」
「さすが詳しいな、星也君。『慈悲の羂、救済の索』……皮肉にもなっていないがね」
なんか、星也たちが難しい話をしているのはいいとして……。
「天元様はなんで そんな感じなの?」
「ユージ……」
「オマエ、よくこのタイミングで割って入れるな……」
虎杖の発言に詞織と伏黒が呆れたような反応をするが、天元が気分を害した様子はなかった。
『私は不死であって不老ではない。君も五〇〇年 老いればこうなるよ』
四つの目をにっこりと細めてこちらを見る天元に、思わず「マジでか」と声が出る。
『十二年前、【星漿体】との同化に失敗してから老化は加速し、私の個としての自我は消え、天地そのものが私の自我となったんだ』
「【星漿体】が、もう一人いたわけじゃなかったのか。どうりで“声”が増えないわけだ」
「あのとき、僕たちが理子さまを守れなかったから……」
ギュッと拳を震わせ、ギリッと奥歯を噛み締める音がここまで届いた。
「すみません」
「話、進めてほしい」
伏黒が手を上げ、詞織もそれに続く。
「僕たちは その羂索の目的と、【獄門彊】の解き方を聞きに来ました。知っていることを話してもらえませんか?」
『勿論……と言いたいところだが、一つ条件を出させてもらう』
頷きながらも乙骨にそう返し、天元は四人を見渡した。
「乙骨 憂太、神ノ原 星也、九十九 由基、【呪胎九相図】――四人のうち二人はここに残り、私の護衛をしてもらう」
思いもよらない話に、全員が頭にハテナを飛ばす。