第4章 アフレッタンドに駆り立てられる【もう一度〜死滅回游について】
「でも、さすがは【天与呪縛】のフィジカルギフテッド。最後の最後で、呪いへの耐性ではなく、生来の肉体の強度が生死を分けた。当主のことは残念だったね」
「別に。競ってたわけじゃないっスよ」
九十九と真希の会話に、虎杖は伏黒に「何の話?」と小声で尋ねる。
「一緒に渋谷に来た禪院家の当主、覚えてるだろ。特別一級術師の」
「真希先輩の伯父さんだよ」
伏黒と詞織に言われ、ようやく袴姿の老人を思い出した。話から察するに、呪霊との戦闘で命を落としたらしい。
二人も真希たちと同じく渋谷駅構内にいたようだが、直前に構外へ放り出され、真希や禪院家当主――禪院 直毘人が呪霊に襲われた場面には居合わせなかったようだ。そして、その場には七海 建人もいた。
「七海さん……そうだ、七海さんは無事なのか⁉︎」
渋谷駅で釘崎同様、真人の【無為転変】を食らい、星良と灰原が治療のために戦線を離脱した。そこからは生死不明で安否の確認もできていない。
「七海さんは無事だ。傷が深すぎてまだ動けねぇけどな」
「半身に麻痺が残っちゃってるから……前みたいに戦うのは難しいかもしれないって……」
そか、と虎杖は安堵の息を吐く。前線復帰は難しくとも、生きてさえいてくれれば、今はそれでいい。
一人でも多く、知っている人も知らない人も……生きてさえいてくれれば……。