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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】


「いい、の……?」

「俺は悠仁の兄で、オマエは悠仁の仲間。ならば殺しはしない。壊相と血塗に対して申し訳なく思ってくれているのなら、それでいい」

 殺したいほど憎いはずなのに……どれほどの想いを呑み込んでくれたのだろう。そう思うと申し訳なさが募る。

 それでも、彼の情の深さを知って安心した。星也は『“今は”味方』と表現したが、この人はきっと虎杖を裏切らない。“大丈夫な人”だ。

 そう分かって、詞織の口元は弧を描く。

「ありがとう、脹相」

 自然と笑みを浮かべると、脹相は軽く目を見開き、肩に触れてきた。

「え……何……?」

「さぁ……何だろうな、この妙な庇護欲は。悠仁に感じるものとは違うが……」

 そこで一度 言葉を区切り、少し顔を近づけてくる脹相に思わず身を引くと、伏黒が「おい」と言いながら大股で近づいてくる。グッと腰を引き寄せられるも、脹相は構わず続けた。

「神ノ原 詞織だったな。一度、『お兄ちゃん』と呼んでくれないか」

「え……ヤだけど」

 呼ぶ理由もないし。きっぱりと断ると脹相はガックリと肩を落とす。

「脹相、詞織は僕の妹だ。君にはやれないよ」

「そうか。では、諦めよう」

 そこは兄同士で通じ合ったのか。星也に言われ、彼はすぐに引き下がった。
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