• テキストサイズ

夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】


「……脹相」

 乙骨がその場を離れ、虎杖が星也と話をしている頃……詞織はおずおずと脹相を呼んだ。

「何だ?」

 伏黒並みの仏頂面。怯みそうになるのは、彼に対して後ろめたさを感じているからだろう。

 伏黒には「ついて来なくていい」と言ったから、少し離れた位置でこちらを見ている。

「悠仁を助けてくれて、ありがとう。あと……」

 グッと息を詰め、詞織は勢いよく頭を下げた。

「ごめんなさい。あなたの弟たちを……殺してしまったこと」

 八十八橋で戦った二人が、【呪胎九相図】と呼ばれる呪物の受肉体だったことは五条から聞いている。

 彼が【九相図】の一番なら、自分たちが殺してしまった二人は彼の弟。

 今も彼と敵対関係にあるのなら、謝罪は不要かもしれない。互いに殺し合うのだ。仮に死んだのが自分だったとしても恨むのは筋違い。

 けれど 味方なら……黙って気づかないふりなんてできない。

「死んだ命は還らない。謝って済む話じゃないのも分かってる。赦してほしいなんて言わない。でも……謝らせてほしい。今 ここにいない二人の分も」

 頭を下げる詞織を見つめ、不意に脹相はゆっくりと口を開いた。

「……謝罪を受け入れよう」

「え……?」

 思わぬ返事に詞織は頭を上げ、高い位置にある脹相を見上げる。その瞳からは感じられるのは死んだ弟たちへの憐憫だけで、怒りや憎悪は窺えなかった。
/ 82ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp