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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】


「亡骸でも六人も揃えば、俺の術式の副次効果で気配くらいは分かるはずだ」

「分かった。じゃあ、僕は九十九さんに連絡してくるよ。少し待ってて」

 そう言って乙骨が席を外した。

 虎杖は枕代わりになっていたパーカーを着込み、「ありがとう、星也さん」と掛けてくれていたコートを返す。

 すると、星也は虎杖の顔をジッと見て、悲しげに目を伏せ、頭を下げた。

「すまなかった、悠仁。必要な演技とはいえ、君には酷い物言いをしてしまった」

「いや、いいよ。そのおかげで助かった……わけ、だし……」

 けれど、笑みを見せることはできず、虎杖の顔は無意識に俯いていく。

「……ねぇ、星也さん……一つ、教えて欲しいんだけど……」

 そう前置きをすると、星也は無言で先を促してくれた。

「……俺は……たくさん、人を殺した……それでも、俺は……俺はまだ……呪術師で、いても……」

 その言葉の先を続けられず、虎杖は唇を噛む。

「さっき憂太も言っていたが、悠仁のせいじゃ……」

 星也が肩に触れてくれるが、虎杖は左右に首を振った。それを見て、彼は小さく息を吐く。

「……失われた命が還ってこないように、償えない罪は確かにある」

 それでも 立ち止まることなく前を向き、奪った命と向き合いながら、より多くの命を守るために死力を尽くす。その覚悟があるなら……。

 そこで言葉を切り、星也は「悠仁」と静かな声音で名前を呼ぶ。それに顔を上げると、吸い込まれそうなほど綺麗な夜色の瞳と目が合った。


「君が呪術師でありたいと願うなら、君は呪術師だよ――“あのとき”も今も……それは変わらない」


 ――「……悠仁。君はもう、呪術師なんだ」


 覚えて、いてくれたのか……。

 目頭が熱くなり、息が詰まりそうになるほど込み上げてくる感情を隠すように、虎杖は星也の胸に額を預けた。

 そんな虎杖を受け入れ、彼は優しく頭に触れる。そこへ、乙骨が九十九との電話を終えて戻ってくる気配を感じた。
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