第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】
「あの人……九十九さんは知らねぇかな?」
あの決戦の場で助けてくれた背の高い女性――九十九 由基は、自分たちの中で最も事情を理解していた。何か情報を持っていそうなものだが。
「もう話した。これは由基さんの案だよ」
そか、と虎杖は詞織に頷いた。
「事情は理解した。問題は天元様の“隠す”結界だな」
「ですね。シャッフルを繰り返す千以上の扉のうち、一つだけが天元様のいる【薨星宮】へと繋がっている」
顎に手を当て、星也と乙骨が考え込む。
「それを引き当てなきゃ、天元……様に会えねぇわけか」
伏黒、星也、乙骨に倣い、虎杖も敬称をつけた。何をしている人なのかは全く分からないが、偉い人なのだけはよく分かった。
そこで、今の今までずっと心の片隅で引っかかっていることが気になって、決心する。
「ごめん、伏黒、詞織。やっぱ今 聞くわ」
今 聞くことではないかもしれないが、それでもこの疑問を放置はできない。
「釘崎と順平はどうなった?」
あの渋谷駅で、釘崎は真人の【無為転変】を受けて心停止し、助かる見込みは限りなく低いと言われていた。
釘崎の延命に力を尽くしていた順平も、真人に胸を貫かれた。東堂の後輩――新田 新が家入のところへ連れて行ってくれたが、その後の安否については確認できていない。
「吉野は無事だ。ただ、かなり無理をしたみたいで、まだ動ける状態じゃない」
「釘崎は……?」
緊張した声音で問いを重ねると、言いにくそうにしながら、詞織が口を開く。