第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】
「宿儺が、伏黒と星也さんと詩音……三人のことを使って、何か企んでる」
伏黒と詞織が目を見開き、乙骨が静かに眉を寄せる中で、星也の反応だけが違っていた。宿儺はすでに星也と言葉を交わしており、彼は知っていたのだろう。
宿儺は基本、利益にならないことはしない。それが あの109前での戦いで、三人に【反転術式】をかけた。
――『オマエたちにはやってもらわねばならんことがある』
――『この小娘には貸しがあるからな。返してもらうまで死なれては困る』
この言葉からも間違いはないはずだ。
自分が渋谷で身体を乗っ取られたのは、一度に指を十本も食わされたから。今 虎杖の中には十五本の指があり、残りは五本。
それを全部 食わされても主導権を渡すことはないだろう。
「それでも……もし次、俺が宿儺に代わったら、迷わず殺してくれ」
伏黒や詞織(詩音)に何かあったら星也と乙骨が。仮に宿儺が星也に危害を加えようとしても乙骨がいる。二人ならできるだろう。
「分かった。ベスト(死力)を尽くすよ」
「そうならないことを祈るばかりだ」
頷いてくれた二人に、虎杖は“生きる覚悟”を決めた。
もしまだ自分にできることがあるのなら、死ぬのはそのときでいい。
今一度 虎杖は視線を戻す。
「伏黒、詞織。俺は何をすればいい?」
尋ねると、伏黒は虎杖、乙骨、星也と順に見渡して説明してくれた。
「まずは高専に戻って、天元様と接触する」
五条を封印している【獄門疆】の解き方、加茂 憲倫の具体的な目的と今後の出方について尋ねる。
この二つに答えられるのは天元しかおらず、回答を得られなければ【死滅回游】を収拾させることは難しい。