• テキストサイズ

夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】


「俺たちは正義の味方じゃない。呪術師だ」

 自分たちを本当の意味で裁ける人間はいない。だからこそ、自分たちは存在意義を示し続けなきゃならない。

 もう自分たちに自分のことを考えている暇はないのだ。


 ――ただひたすらに人を助けろ。


 伏黒の言葉に続け、詞織が「ユージ」と呼びかけてきた。

「そもそも人助けは、ユージの行動原理だったはずでしょ?」

 澄んだ夜色の瞳が真っ直ぐに虎杖を映し出す。
 けれど、虎杖は内心で「違う」と首を振り続けた。


 ――それじゃオマエらは……俺が隣にいる限り、ずっと苦しみ続けることになるんだぞ……!


「虎杖」
「ユージ」


 ハモった二人が視線を交わし、詞織が瞼を伏せる。

「まずは俺たちを助けろ」

 加茂 憲倫が仕組んだ、呪術を与えられた者たちの殺し合い――【死滅回游】。

 それに伏黒の姉であり、詞織の幼なじみでもある津美紀が巻き込まれている。

「頼む、虎杖。オマエの力が必要だ」

「俺の……」

 そう呟いたのと同時に、自分の手を握る詞織の手が震えていることにようやく気がついた。

「お願い、ユージ。津美紀を助けたいの」

 深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。


 ――人を助けろ。


 耳の奥で、祖父の言葉が蘇った。その言葉は虎杖がブラしたくない、信念そのもの。

 そうだ。そうだったな。

 虎杖は詞織の手を握り返した。そして、伏黒と詞織に視線を返すと、次いで沈黙を守っていた乙骨と星也に移す。

「……星也さん、乙骨先輩」

 一瞬 言うべきか迷ったが、警戒してもらうためにも言っておいた方がいいだろう。
/ 82ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp