第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】
「ユージ、よく聞いて。今、高専の結界は緩んでる。直接 顔を見られない限りは、ユージが戻っても問題ない。一度 先輩たちと合流して……」
「――やめろ!」
詞織の言葉を遮り、虎杖は声を上げた。
「当たり前のように受け入れるな! なかったことにするんじゃねぇ! 俺は人を殺した! 俺のせいで大勢 死んだんだぞ‼︎」
乙骨と星也が自分を処刑に来たのだ。ならば、二人だって知っているはず。渋谷で宿儺が何をやったのか。
渋谷の一角を火で呑み込み、更地に変え、多くの命を奪った。仲間の術師だって巻き込まれ、死んだ者もいるだろうし、重傷を負った者も少なくはないだろう。
それなのに、何で二人はいつも通り自分に接してきているんだ。
「――俺たちのせいだ」
「――わたしたちのせいでしょ」
伏黒はギュッ眉間にシワを寄せ、詞織は悲しそうに眉を下げ、二人は声を揃えた。
「何でわたしたちの分まで背負おうとしてるの?」
「オマエ独りで勝手に諦めてんじゃねぇよ」
そりゃ、オマエらならそう言うさ……!
罷(まか)り間違っても、自分が助けた人間に「死んでくれ」とは言わない。伏黒も詞織もそれくらい責任感が強く、そのために命だって懸けられる。そういう人間だ。
けれど、元はといえば自分が【宿儺の指】を食ったのが始まり。何も知らない愚かな自分が始めたこと。なら、責任を負うのは自分だけでいい。
そんなことを考えていると、伏黒があからさまにため息を吐いた。詞織も無表情ではなく少し寂しげな微笑を浮かべ、虎杖の傍らに膝をついて手をとる。
そんな彼女に、今度は伏黒も何も言わなかった。