第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】
「僕は断られたんだ。信用できないってね。悠仁とはそれなりに親交があったから」
向こうも馬鹿ではない。総監部とは執行人として認めてもらう代わりに、虎杖を『殺す』という“縛り”を結んだと説明してくれた。
「だから一度 本当に殺した。ごめんね」
申し訳なさそうに乙骨は手を合わせて謝罪をしてくれるが、それでは話がおかしい。
「いや、じゃあ何で俺は生きてんだ?」
「【反転術式】だよ。憂太は、悠仁の心臓が止まると同時に一気に治癒したんだよ。“縛り”は悠仁を殺すことでクリア済み。蘇生させることは違反にならない。だから、僕は断られたんだ」
「星也さんと違って、僕が正のエネルギーをアウトプットできることを知る人は少ないからね」
前に少年院で虎杖が死亡し、その後 蘇生した話を聞いていた二人は、今回のその大胆な作戦に踏み切ったのだと言う。
「そう……虎杖くんの死を偽装するのはこれで二度目だ。念のため、星也さんが術式で虎杖くんそっくりのヒトガタを死体として提出くれてる」
「けど、それも長くはもたない。ヒトガタに込めた呪力が切れれば消滅して そのうちバレる。だが、状況が状況だ。とりあえずは死刑執行済みで処理されるだろうし、それまではヒトガタの呪力も保(も)つはずだ」
「……どうして、そこまでして……」
いくら二人が貴重な特級術師とはいえ、死刑を偽装したとなれば間違いなく重い罰が下るだろう。
わざわざ そんなリスクを犯してまで助ける価値が自分にあるのか?