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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】


「……じん……おい、仁」

 花瓶に活けられた梅の花の鮮やかさに目を瞬かせると、険しい表情の老人が赤子を抱いた眼鏡の男性を呼んだ。

「なんですか、父さん。彼女の話をするなら帰りますよ」

「仁……オマエがどう生きようとオマエの勝手だ」

 父と呼ばれた老人はそう言いながらも、重く静かな声音で「だが」と続ける。

「あの女だけはやめとけ……死ぬぞ」

「悠仁の前で変な話はやめてください。案外 覚えているそうですよ、赤ん坊の頃の記憶」

 ねぇ、と眼鏡の男性は相好を崩しながら、赤ん坊を高く持ち上げた。

「オマエが子どもを欲しがっていたことも、香織との間にそれが叶わなかったことも知ってる!だが、香織が死んだのは――……」

「お義父さん」

 遮るように割って入る女性に、二人の視線がそちらへ向く。

「何の話ですか?」

 首を傾げて微笑を浮かべる女性――その額には、痛々しい縫合痕が刻まれていた……。

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