第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】
「まずはアタシ以外の特級二人――乙骨 憂太君、神ノ原 星也君と合流。二人の迎えは伏黒君と詞織ちゃんに任せる。情報を共有し、一緒に高専へ戻ってくれ」
天元から話を聞いた後は各自 必要に応じて別行動。
真希は呪具の調達のために禪院家へ行くようだが、九十九は未定。
伏黒は虎杖や詞織と東京校三年の秤 金次と接触し、【死滅回游】の平定に協力するよう説得する手筈となっている。
「……由基さんも一緒に来てくれたら心強いのに……」
詞織の言葉に、九十九は一度 目を丸くし、感動したようにジーン…と震える。
あぁ、自分の名前を呼ぶ詞織が可愛かったんだな。
「あまりゾロゾロ行くと目立つし、【獄門疆】の解封は犯罪。表立って動くことはできない。上層部とはあまり関わりたくないしね」
そっか…と詞織が俯くと、堪らずといった様子で九十九が詞織を抱きしめ、顎と頭を撫で始めた。それを「ちょっといいですか」と詞織の腕を引き寄せ、無理やり引き剥がす。
詞織を抱き止めてジッ…と九十九に視線を向けると、彼女は両手を上げて肩を竦めた。
「星也さんたちが待ってんだろ。さっさと行くぞ」
「分かった」
真希たちに挨拶をして背を向けると、不意に九十九が「伏黒君」と呼び止めてくる。
「一つ聞いておきたいんだけど……どんな女がタイプだい?」
「それ……前に東堂さんにも聞かれたんですけど」
「葵に教えたのはアタシだからね」
つき合っている女がいると知って、聞く必要があるのか?
そう思って詞織を見て、九十九に視線を戻し、ため息を吐いた。