第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】
「うん……うん……分かった」
星也との通話を終え、詞織は伏黒を振り返った。
「星也さん、なんだって?」
「ユージの処刑が終わったって。話通り、ユージのお兄ちゃんも一緒だったみたい」
そうか、と伏黒は短く頷く。
それにしても、普段 星也を「兄さま」と呼んで慕う詞織が「お兄ちゃん」という単語を使うのは新鮮だ。可愛い。
気が緩みそうになる表情を あえてギュッと眉間にシワを寄せることで仏頂面を保っていると、詞織が心配そうに「大丈夫?」と首を傾げて見上げてきた。
「今 あんま近づくな」
詞織の目元を手で覆って視界から隠すと、隣から笑い声が立つ。
「仲がいいね、二人とも」
「恋仲、だもんなぁ?」
背の高い女性と真希が笑いながら こちらを見てニヤついていた。
背の高い女性――九十九 由基と名乗る彼女からも話は聞いている。概ね 垂水から聞いた話と相違なく、情報の真偽を確認できた。
「それにしても、仲間の処刑の話だっていうのに随分と落ち着いているね」
「言っても仕方がないでしょ。それより、今後のことを考えないと」
渋谷での出来事を考えれば、この事態は避けられない。ここは星也や乙骨に任せるしかないだろう。
「そうか。じゃあ、話を進めよう」
そう言って、九十九は指を二本立てた。
「アタシたちに必要な情報は二つ。【獄門疆】の封印の解き方と、加茂 憲倫の具体的な目的と今後の出方。この二つの情報を得るために高専へ戻り、天元と接触する必要がある。おそらく、この答えをもたらせるのは天元だけだろう」
未曾有の呪術テロ【死滅回游】――事態収拾のため、この二つの回答はマスト。
そう、九十九は真剣な表情で語った。