第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】
「後は分かるな――詰みだ」
「どうやろうな。試してみぃや」
【穿血】の構えを取る脹相に、けれど直哉の余裕の態度は崩れなかった。
脹相は一歩も動かず、迫る直哉を静かに見据えた。こちらに向かいながら、直哉の表情に初めて戸惑ったような色が見てとれる。なぜ 撃ってこないのか、と。
――これは一五〇年、自らの術式と向き合い続けた脹相のオリジナル。
「――【超新星】」
まるで散弾銃のように弾けた脹相の血液が直哉を襲う。避ける間もなく食らった直撃に、直哉は目を見開き、血の海に倒れた。
「悪いが、兄弟を愛せなかったオマエの気持ちは分からん」
【赫鱗躍動・載】を解く――そのとき、背後から何かを引きずる音と砂利を踏む音が耳に届いた。
「お疲れさま、憂太」
「えぇ。星也さんはどうです? 気は晴れました?」
「まぁ、少しはね。僕が直接 相手をするより、格下だと思っている相手に打ち負かされる方が嫌がらせになりそうだから、潰し合ってもらった」
自分も直哉も、まんまと乗せられたというわけか。より屈辱を与えるためだけに自分は直哉に当てられた。
そのうえ 話から察するに、直哉が倒されるこの状況まで読んでいたらしい。本当に、食えない男だ。
【白虎】から降り、星也が乙骨へ歩み寄る。乙骨が引き摺っているのが虎杖だと気づき、脹相は「悠仁!」と目を見開いて声を上げた。
駆け寄ろうと脹相が踏み出すと、星也が鋭く回し蹴りを放ち、受け身を取る間もなく地面に伏せられる。