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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】


「残念。こっちはカウンター前提で動きを作っとんのや」

 そのまま放り投げるように壁に激突する。

「クソッ」

 悪態を吐いていると、腹部から流れる大量の血液に目を見開いた。

「キミ、しつこいから使わせてもろたで――得物。ホンマは星也君と戦うまで温存しときたかったんやけどなぁ」

 ニヤリと星也を一瞥すると、彼は一つため息を吐く。

「そろそろ終わりそうですか? 待つだけなのも退屈なんですけど」

「自分、案外せっかちやな。もうちょい待っとれ」

 懐から取り出した懐紙で己の得物――小刀の血を丹念に拭って捨てた。

「【赤血操術】やし、止血はお手のもんやろ。止血に気ぃ回しながら どこまでやれるか試してみよか」

「用意がいいな」

 そう言ってやると、直哉は「内緒やで」と血を拭った小刀を懐に仕舞う。

「ぶっちゃけダサいと思っとんねん、術師が得物 持ち歩くの。それがないと勝たれへんってことやし、意外とおんで、同(おんな)し考えのヤツ。オレの兄さん方もブラブラとみっともないねん。よぉアレで甚爾君のことやいやい言えたもんや」

「嫌いなんだな、兄弟が」

「嫌いやね」

 きっぱりと、直哉は断言して嘲笑した。

「弟よりデキの悪い兄なんか、居る意味ないやろ。首 括って死んだらえぇねん」

「その兄弟たちのおかげで、今のオマエがあるかもしれんぞ」

 そう言うと、直哉は「は?」と不愉快そうに顔を顰めた。

「今、めっっちゃキショいこと言うた? ドン引きやわ」

「デキが良かろうと悪かろうと、兄は弟の手本なんだ」

 兄が道を誤ったのなら、弟はその道を避ければいい。兄が正道(せいどう)を歩んだのなら、弟は後をついて来ればいい。

 弟たちのために道を作る――それこそ、兄が兄たる所以であり、弟たちの先を行く理由だ。
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