第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】
「ほな、始めよか。最期に言い遺したことあるんやったら聞くで」
「俺が言いたいことなら、そこにいる男と同じだ。俺の弟に手を出して、生きて帰れると思っているのか?」
「はっ、デカい口 叩きよる」
瞬間――直哉の姿が消えた。
身体に触れた感触――一瞬 意識が途切れたかと思ったら、次にはパリンッとガラスが砕けるような音と共に壁に叩きつけられる。その繰り返し。
もつれるように、脹相と直哉は場所を移動し、気がつけば陸橋の内部へと入っており、星也もゆっくりと後を追ってくる。
それにしても速い!
術式の種がまるで分からない。
ここまで圧倒されていては、術式の開示を行うこともないだろう。
【百斂】をタメが大きいと言っていたが、それどころの話ではない。
絶え間なく連撃を叩き込んでくる直哉に、体外での血液操作がまるで機能しない。さらに強い一撃を食らわされるも、どうにか足を踏ん張る。
「しぶと。マジで何なん、キミ」
「……兄さ。“十人兄弟”のな」
【呪胎九相図】たち、そして虎杖 悠仁を入れた十人の兄弟――その長男が自分だ。
――【赫鱗躍動・載】
ズズ…と脹相の顔の紋様が広がる。
「答えになってへんねん。オレは術式とそのしぶとさのことを聞いてんねん!」
そう言いながら、その場でトンットンッと飛び跳ねていた直哉が地面を強く蹴った。その動きを、脹相の目は捉える。
【赫鱗躍動・載】で外眼筋に力を集中させ、動体視力を上げた。
脹相は直哉を捉えるべく手のひらを構える――も、それは躱され、鋭い激痛と共に拳が腹に叩きつけられた。