第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】
「恵に手を出すようなら許さないと言っているんです。僕は姉さんや詞織、恵、津美紀……兄弟を守るためなら、どんなことも恐れない。他の何を捨ててでも守る」
そうか。この男も弟を……兄弟を守るために戦うのか。
しかし、この状況――二人を相手取るのは難しい。
そう考えていると、不意に星也は顕現していた【白虎】を呼び、おもむろにその白い背中に腰を掛け、長い足を組んだ。
「何の真似や」
「三つ巴の戦いは効率が悪い。あなた方も、敵二人を捌きながら戦うのは面倒でしょう。僕はここで待っているので、さっさと済ませてください」
何、だと?
今、兄弟のために戦うと言っていたではないか。
口先ばかりで、結局はその程度か。
脹相が戸惑っていると、直哉が低く舌打ちをする。
「それやとキミが有利すぎるんちゃうん?」
直哉の言う通り。コイツを倒した後で星也と戦うなど、死ぬのと同じことだ。
ただ座っているだけなのに、全く隙がない。放つ緊張感も、纏う呪力も底が知れない。
「大丈夫ですよ、直哉さん。僕と戦う前に回復する時間くらいあげます。それに、必要なら【反転術式】も掛けましょう。万全の状態で挑んでもらって結構です」
それに、と彼は直哉に微笑んだ。
「それほど時間は掛からないでしょうし」
星也の言葉に、直哉は「それもそうやな」と不敵に口角を上げ、脹相へ視線を向ける。