夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第22章 トレモロに跳ねる心音【呪胎戴天-伍-】
「【浴】の用意はすでに整っております。少々 ご足労頂くことになりますが……」
『相変わらず、痒いところに手が届く』
褒めてやれば、裏梅は微かに口角を上げて喜びの表情を見せた。
『――詩音』
名前を呼ぶと同時に呪符が現れ、夜を紡いだような髪を持つ少女へと変じる。瞳は紅く虚ろでありながら血の涙を流し、小さな口元は『詞織』と壊れた人形のように愛を呟き続けている。
それを見て、宿儺はため息を吐いた。
『こんな人形ではつまらんな』
ボソリと呟き、パチンッと指を鳴らす――と、虚ろだった紅い瞳に意思の光が宿り、みるみる見開かれ、詩音は頭を抱えた。
『いやぁあぁぁあぁぁ――――ッ‼︎』
空気を引き裂くような悲鳴に、裏梅が凍結させた氷が震える。
『詞織……っ! あたしが……あたしが詞織を……っ‼︎』
肩を震わせて泣き崩れる詩音に、宿儺は再びため息を吐いた。
『全く、世話の焼ける』
そう溢すと、紅い瞳が鋭く吊り上がり、口元を怒りに歪める。