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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中

第22章 トレモロに跳ねる心音【呪胎戴天-伍-】


『宿儺……! お前……っ!』

『オマエ? 誰に向かって口を利いている』

 静かに見据えると、詩音の表情に一瞬の恐怖が過った。

 そんな詩音の後頭部に手を回し、細い身体を引き寄せる。そして、騒ぐ唇に自身の唇を押しつけ、強引に呪力を流し込んだ。

 詩音が大きく溢れそうなほど目を見開き、ビクッと不自然に身体を強張らせる。抵抗するように身を捩っていた詩音は、やがて瞼を閉じ、力なく崩れ落ちた。

「宿儺様、その少女は?」

『ただの玩具だ。俺の呪力を流して少し意識を抑えた。騒ぎすぎるのもうるさいが、従順すぎてはつまらんからな』

 詩音の身体を抱き上げ、宿儺は【白虎】に乗り上げた。その後ろに裏梅も腰をかけると、【白虎】が地面を蹴って宙へ踏み出す。

 そのとき、ピシッと氷が音を立てて亀裂を走らせた。氷が砕け、虎杖が宿儺を見上げ、目を見張る。

「詩音⁉︎ なんで⁉︎」

 驚く虎杖に答えることなく見下ろしていると、裏梅が「殺しますか?」と静かな声音で尋ねてきた。

『待て待て、よく見ろ。笑えるぞ。なんと情けない』

 宿儺の視線の先で、身体中を斬り刻まれた虎杖が、「宿儺ァッ!」と必死の形相でこちらを見上げている。

『ほら、いただろ! あの播磨の!』

「フッ、確かに……口元が特に」

『似てるだろう⁉︎』

 上品に口元を隠して嗤う裏梅に、宿儺もゲラゲラと声を立てた。

「宿儺! 待てっ! 星也さん! 星也さん――ッ‼︎」

 最後は泣き声を上げるように星也の名を叫ぶ虎杖に、さらに笑いが込み上げる。

【白虎】は宿儺と裏梅の哄笑を乗せたまま、薄暗い空を駆けて行った。
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