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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】


 乙骨から逃げることだけを考えろ――虎杖と術師を戦わせず、かつ自分に引け目を感じさせない提案。

 今の虎杖の精神状態的に、人間との交戦は厳しいだろう。

 世話の焼ける弟にそれを了承させ、虎杖の後を追う乙骨に【穿血】を発射しようとする。

 だが――……。


「――【停止】」


 星也の呟くような言葉に、脹相の動きが意思に反して止まり、さらに直哉の蹴りが腹に入った。

 今のは【呪言】か? ということは、星也は呪言師? 
 先ほどは式神を使っていたはずだが……。

 乙骨の進路を妨害するつもりだったが、読まれていたようだ。

 だが、種さえ分かれば対策のしようはある。呪言師ならば、耳から脳にかけて呪力で守れば防げる。

 問題は――……。

 直哉に頭を掴まれ、バキッと顔面を殴られた。

 その直哉の襟首を背後から掴み、星也が彼の腹に回し蹴りを決める。吹き飛ばされた直哉が壁に大きなクレーターを作った。

「おっも……こんなん蹴りちゃうやろ」

 背を向ける星也に、脹相は合わせた手のひらで血液を圧縮する。しかし、横合いから【白虎】が襲いかかり、【百斂】の生成を妨げてきた。

「【赤血操術】――なぜ君がその術式を持っているのか知らないが……」

「別に構へんやろ。【穿血】以外はそんな怖ないし、【穿血】を出すには【百斂】――デカいタメがいる」

 瓦礫の中で立ち上がり、直哉が砂塵を払いながら勝ち誇った笑みを浮かべる。

「後は言わんでも分かるやろ。詰みや。死ぬで、キミ。一万歩譲ったかて、星也君どころかオレにも勝たれへんよ」

「僕を下みたいに言うのやめてもらえます? 確かに僕は特級じゃ弱い方ですけど、あなたより弱いつもりはありませんよ」

「あ"ぁ"?」

 青筋を立てる直哉と感情の見えにくい夜色の瞳の星也――二人の隙を窺った。
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