夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第22章 トレモロに跳ねる心音【呪胎戴天-伍-】
「返せ! 返せ! 星也は……っ! 星也は私の……っ‼︎」
身体を焼かれながら、宿儺は一瞬 口角を上げた。
『……華……思い出したよ』
星也が忘れた華との幼い頃の出会い――その記憶を汲み上げ、宿儺は星也に似せて穏やかな表情と声音を“作る”。
『ありがとう。もう大丈夫』
顔や身体の紋様を薄くし、微笑を浮かべて華へ手を伸ばすと、忌々しい光は消え去り、術式が解かれた。
「星也……っ!」
華が大粒の涙を浮かべ、地上に降りてくる。
『駄目だ、華!』
“天使”が華を止めようと声を張るが、どうやら聞こえていないらしい。
「星也! 星也! 私ね……」
泣きながら抱きついてくる華の身体を受け止めてやる。
「私、ずっと星也のこと……っ!」
震える小さな肩へ、星也は大きく口を開いて食らいついた。
「華……っ!」
「来栖っ!」
詞織が悲鳴のように声を上げ、伏黒が冷や汗を流す。
『つくづく、人間』
ゲラゲラと嘲笑し、宿儺は華のちぎれた右腕と共に細い身体を放り投げた。
* * *