• テキストサイズ

夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中

第22章 トレモロに跳ねる心音【呪胎戴天-伍-】


『……クックッ。ここまでくると、その情の深さは愚か以外の何物でもないぞ』

 喉を鳴らして笑い、宿儺は己の指の皮を噛み切る。そして 懐から白紙の呪符を取り出し、【詩音】と名を書いた。

『詩音とはすでに“縛り”を以て契約を交わしている。どれほど“器”の強度を上げたとて、時間稼ぎにしかならん』


 ――【その身を我に捧げよ】


 名を書いた呪符を“詩音”に向けて飛ばした。勢いよく飛んだ呪符が詩音に張りつき、バチバチッと火花を弾けさせる。


『いやぁぁあぁぁあぁぁ――――ッ‼︎』


 激しい叫び声を上げた詩音が、不意に糸の切れた人形のようにフラッと倒れ込んだ。その細い身体を伏黒が受け止める。ゆっくりと開いた瞼の下から、夜色の瞳が覗いた。

 フワッと呪符が宿儺の元に戻ってくる。


『【謹請現示――詩音】』


 宿儺の命令に、呪符から呪力が溢れ出した。それは目に見えるほど濃く、空気を震わせるほど強く――やがて、呪符が巨大な異形の姿を取る。

 十二枚の歪つな翼、胸には空洞が空き、固く閉ざされた瞼からとめどなく血を流していた。ビルを覆うほどの巨体を前に、伏黒と詞織が愕然とする。
/ 485ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp