夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第22章 トレモロに跳ねる心音【呪胎戴天-伍-】
「星也、さん……⁉︎」
虎杖が愕然と呟く。引きちぎった指が痛むのか、虎杖の腕が小刻みに震えていた。
『想定外はあったが……重畳だ』
口元に笑みを浮かべた宿儺は一瞬で虎杖と距離を詰め、腹へ拳をねじ込む――と、何棟ものビル群を貫き、虎杖の身体が弾け飛んだ。
「虎杖!」
「ユージ!」
伏黒と詞織が叫ぶ。虎杖への攻撃で、付近にいた術師たちが近づいてくる気配を感じた。
『……いつの時代も、どこからともなく虫は湧く』
そう呟き、宿儺は夜色の瞳に恐怖を宿す少女――詞織に視線を向け、口を開く。
『――“詩音”――“出番だ”』
「え……?」
「は……?」
伏黒が詞織を振り返った。
笑みを深くする宿儺の視線の先で、詞織の夜色の瞳が紅く濁る。
『ぅあ、あ、あぁ――――ッ⁉︎』
「詩音⁉︎」
伏黒が目を見開いて声を上げた。
己の身体を抱きしめ、苦痛に喘ぐ詩音に、宿儺は眉を寄せる。
――『俺が次にオマエの名を呼んだら、力を貸せ』
少年院で詩音と交わした“縛り”――詩音の様子を見るに、“縛り”自体が成立していないわけではない。
なぜ、と考えようとして、その答えは星也の記憶の中にあった。