第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】
虎杖は乙骨を振り切り、屋内へ逃げ込むのは諦め、後方へ駆け出した。近くに停まっていた四駆の窓から中へ入る。
アウトドア用の自動車だと思ったのは当たりだったようで、座席にサバイバルナイフを見つける。それを手に窓を抜け出したときには、すでに乙骨は追いついてきていた。
刀を振るその刃を、虎杖は先ほど手に入れたナイフで受け止める。
「ナイフ? どこから……あぁ……アレか……」
突然のナイフの出現に乙骨が目を丸くするも、すぐにアウトドア用の四駆に気づいたようだ。
虎杖は防御や回避から、攻撃に転じる。
ビビるな! 間合いを詰めろ‼
特殊な呪具でも何でもないコレでどこまで通用するか分からないが、呪力を込めればコレだっていくらかマシだろう。
だが、前に五条から呪具を使った戦い方について話を聞いたが、まだ早いと言われた。
タイプによっては得物の扱いを軸に修行を進めるようだが、呪具便りになって呪力操作がおろそかになってしまうこともあるらしい。
確かに、あのときは呪力操作が未熟で、五条の判断は正しかったと思う。
つまり 虎杖は、武器に呪力を込めるやり方を習っていないのだ。
振り下ろされた刀をナイフで受け止める。ヂヂヂ…と呪力がぶつかり合って音を立てた。
ひたすらナイフに呪力を込め、どうにか重たい一撃を押しやろうとするが、ビクともしない。