第3章 胸を突き刺すドロローソ【執行~あの場所】
「(逃げるぞ、悠仁)」
バッと脹相を振り返ると、彼はいまだ話を続けている三人へ視線を向ける。
「(金髪は種のあるスピードタイプ。アイツと追いかけっこは美味くない。俺が足止めする)」
「(大丈夫かよ)」
速さに自信がある自分でもついていくことができなかった。それは脹相とて同じはずだ。
「(俺はな。狙われてるのはオマエだぞ、悠仁)」
そう言いながら、脹相は血液を圧縮し始める。
「(あの二人――五条 悟と同じタイプと見た。戦ったら死ぬぞ。あの背の高い男――星也と言ったか。アレからは戦意は感じられない。サポートという言葉通り 静観するつもりなのだろう。なら、問題は黒髪――乙骨だ。オマエはヤツから逃げ切ることだけを考えろ)」
そこへ、「その代わり」と少し強めの口調で金髪の男――禪院 直哉は乙骨と星也を見る。
「虎杖君を殺しても、そのことを上にしばらく黙っててくれへん? 彼を餌に会いたい人がおんねん」
そのとき、ミシッと瓦礫の山が音を立てた。
「それって……まさか恵のことじゃないですよね?」
言いながら、星也は瓦礫を踏み抜きながら進み出る。
「禪院家当主であるあなたの父が亡くなった話は聞いています。そんな状況で、あなたがわざわざ悠仁を殺すためだけにここに来たなんて……おかしいと思ってたんですよ」
「……チッ。せやったら 何やねん」
深くため息を吐くと、星也は隣にいる乙骨へ一度 視線を向けた。
「憂太。黙って見ているつもりだったが、予定変更だ。僕はコレの相手をする」
「はぁ……⁉ 何のつもりや‼」
「たとえ血は繋がらなくても、恵は僕の弟だ。それに手を出すつもりなら……容赦はしないって言っているんだ」
星也の呪力と殺気に、空気が切れそうなほど震える。そんな中で、乙骨だけがフッと小さく笑っていた。