夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第18章 その裏に隠されたインクィエート【未知への供物】
「軍人⁉︎」
伏黒が声を上げる。
結界に侵入した者の正体。
統率のとれた規則的な動き――身なりからして自衛隊ではないのは明らかだった。
詞織は内心で歯噛みする。
何も気づけなかった。渋谷事変から ずっとそう。耳の奥で鳴る不協和音は慢性化して、“イヤな予感”を感じ取りにくい。
「何が目的だ?」
「結界内にいる人たちの保護ってことは……」
詞織が伏黒と話していると、タタタタッと銃弾が放たれた。
「【夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらん】!」
捲し立てるように早口で詠唱すると、淡い月が姿を現す。放たれた銃弾は月光に触れた瞬間、溶けるように消えた。
詞織より少し離れたところでは、星也の【太裳】が翡翠色の大きな翼で主人や傍らの華を守っている。
「撃ってきやがった……」
「保護の線は なし」
詞織は袖口から細身の短剣を取り出す。
「直接 聞くしかねぇな」
伏黒が犬の影絵を作り、【玉犬 渾】を呼び出した。
相手は非術師だ。【玉犬】の姿は見えない。自分も、と短剣を構えたが、虎杖がすでに飛び出している。これは、自分まで混ざる必要はないだろう。
星也も同じ考えなのか、戦闘に加わる様子はない。詞織も流れ弾だけ注意し、小さく口を開いて防御効果のある歌をうたい、自分や近くにいる髙羽を守るための結界を維持する。