夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第16章 束の間 奏でるクリシェ【仇名/直接会談】
『これはすでに神ノ原 星也にも提示し、承諾してもらっていることだが、君たちにも手伝ってもらうよ』
交換条件?
やはり、タダで進むほど甘くはないか。
「何だ?」
伏黒が問いかけると、“天使”が重々しく口を開く。
『私の目的は受肉した泳者の一掃。彼らの多くは、受肉の過程で器の自我を殺して沈めている。これは私の信条に反する』
「来栖君もその『受肉した泳者』の一人ではないのか?」
髙羽が首を傾げつつ話に割って入った。ずっと黙っていると思ったが、一応 話にはついてきているようだ。
『そうだ。だから、私は華と共生という手段を取った』
理屈は分かった。
まだ交換条件が何なのかは分からないが……。
「“天使”の術式で、受肉した泳者を受肉前に戻すことはできないの?」
詞織が淡々とした声音で尋ねる。
『神ノ原 星也にも同じことを聞かれた。無理と断言はできないが、九割九分 死ぬ。都合よく片方を引き剥がすことはできない』
詞織の夜色の瞳が虎杖を見て揺れた。もしかしたらという一縷の希望もあったのだろう。
だが、もともと『虎杖が死ねば宿儺も死ぬ』という話で、この理屈は虎杖本人も知っていることだ。
「話を戻そう。“天使”の提示した交換条件のことだ」
星也の声に、空気が緊張して張り詰める。
『――【堕天】。この者の抹殺だ』
一人だけ、受肉した泳者の中に、なんとしても屠りたい者がいる。
それが、“天使”が【堕天】と呼ぶ存在らしい。
『この者を殺すことができれば、君たちへの協力は惜しまないことを約束するよ』
* * *