夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第15章 わずかに見えてきたスペランド
「星也には……内緒ですよ?」
そう前置きをして、華が柔らかな声で話す。
「幼い頃、助けてもらったんです。星也は……覚えていないようですけど……」
「そう、だったんだ……」
星也は思い詰めやすい性格だから、助けられなかった人のことはよく覚えている。
逆に、自分の手柄や功績には固執しないから、助けた人たちのことは記憶に残りにくい。
華は少し寂しそうに眉を下げて笑うと、こちらを見てきた。
「詞織……星也との仲を、取り持ってもらえませんか?」
「あ……」
思わず言い淀むと、華が首を傾げる。
「ダメですか? 私のことが嫌い?」
「違う」
華のことはまだよく知らないが、嫌いではない。きっと、これからもっと仲良くなれると思っている。それでも……。
「……さっき話してた……ツミキ、という人と関係がありますか?」
ビクッと、思わず肩が跳ねた。
【死滅回游】に参加する前――津美紀は星也のことが好きだったのだと、伏黒から聞いた。津美紀が呪われて眠った日の朝、告白するつもりだったらしい。
いや……おそらく告白したが、気持ちに応えてもらえなかった。星也が任務に出たその日、津美紀が泣いているのを見たと、伏黒が話してくれた。
――「津美紀が呪われたとき、あんな取り乱した星也さんを、俺は初めて見た。でも、今 思うと……家族のように大事に思ってたってのもあるだろうが、津美紀の気持ちに応えられなかった罪悪感とか……そういうのもあったんじゃないかって……」
伏黒の言葉に思い返してみれば、津美紀の気持ちに気づける場面はいくつもあった。
なんで、こんなに鈍感なんだろう。言われるまで気づけないなんて……。